目次
「強い想い」が金融機関やメーカーを動かした!
DIYファクトリーで有名な株式会社大都の山田岳人社長の経営には学ぶべき点が多いので紹介いたします。
DIY FACTORYとは、厳選されたDIYアイテムがメーカー別に陳列されていて、DIYを気軽に体験することができる新感覚のスペースです。
また、スタッフさんが講師を務めるレッスンなどの体験イベントが定期的に開催されている点も人気です。
1号店は、2014年に大阪でオープンしましたが、当時金融機関からは大反対されました。
「今、リアル店舗がどんどん閉店している時代になぜ出店するのか?」
しかし、山田社長にはある想いがありました。
「消費者が気軽にDIY体験できる場所をつくりたい!」
そこで、各メーカーに定額で場所を貸すという斬新な方法を思いつきます。
その結果、25社のメーカーが手を挙げてくれ、その利用料だけで毎月の家賃をペイすることができました。
各メーカーにとって、自社の商品を体験できるショールーム的な場所は喉から手が出るほど欲しいはずですから、山田社長とメーカーの思惑が合致したのです。
DIYファクトリー https://www.diyfactory.jp/
また、そこに強い想い(理想)があれば、金融機関やメーカーを動かすこともできるのですね。
やはり、会社で一番大切なことが理念やビジョンであることを理解できます。
その後、東京の二子玉川駅前のショッピングモール「二子玉川ライズ」内に、2号店「DIYファクトリー二子玉川」をオープンしたことで、DIYファクトリーの知名度はさらに上がっていきます。
「選択」と「集中」でeコマース事業へ
しかし、ここに至るまでは苦難の連続でした。
山田社長が代表を務める株式会社大都は、もともと工具の卸売業を営んでいました。
工具を仕入れてホームセンター等に卸すのが主な事業だったのです。
山田社長は3代目であり(2代目は山田社長の奥様の父親)、会社を継いだ時点で会社の業績は良くありませんでした。
また、「卸売業」という業態にも未来が感じられませんでした。
クライアントにいくら提案を行なっても、最終的には一番価格が安い業者が勝ちます。
つまり、一番規模が大きい会社が強いということです。
いくら努力をしても付加価値を高めることができないのです。
そこで、山田社長は会社の方向性をeコマース事業へとシフトしていきます。
今までホームセンターに卸していた商品を、直接一般消費者に販売する作戦です。
しかし、業界にとってこれはルール違反。
eコマース事業を始めた山田社長にはホームセンターから強い圧力がかかりました。
しかし、時代は確実にECに流れていきます。
山田社長は「卸売業」を捨てて、「eコマース事業」に全てをかけました。
「選択」と「集中」です。
何か新しいことを行なう場合は、何かを捨てる必要があります。
新しいことは確実に儲かるわけではありませんが、卸売業よりもeコマース事業に輝く未来があるという直感を信じて、山田社長は突き進んだのです。
その結果、株式会社大都のeコマース事業DIY FACTORY ONLINE SHOPは、DIY業界を代表するネットショップへと育ちました。
DIY FACTORY ONLINE SHOP https://shop.diyfactory.jp/
時代は「直売」に向かっている
インターネットが誕生してから、多くの業界で直売が当たり前になってきています。
一般消費者に直接販売するビジネスモデルですね。
この流れを後押ししたのは、インターネットだけではありません。
通信や宅配便業界の発達もこれを後押ししています。
また、今までは商品を販売するためには「店舗」が必要でした。
しかし、今は必ずしも必要ではありません。
消費者は現物商品を見なくても購入してくれるようになったからです。
まだインターネット黎明期の頃は「インターネットで売れる商品は限られている」と言われていました。
特に、洋服などは実際に試着してみないと着心地やサイズが合うかどうかがわからないので、インターネットでは売れないと言われていました。
しかし、今洋服はインターネット上で盛んに売れています。
洋服だけではありません。
車や家もインターネットで売れる時代になりました。
これからの時代を力強く生き残っていくためには、全ての企業が「直売」に向かうべきなのかもしれません。
「空き家問題を解決する」というミッション
最後に紹介するのが、コミュニティ事業です。
山田社長は今、大手不動産のマンションの中に工房を作ることで、マンションそのものの付加価値を高めてマンションを販売する新事業にチャレンジしています。
マンションの中にDIYの工房があれば、DIY好きな人にとってはとても魅力的と感じられますからね。
実際に完売となったマンションもあるそうです。
それでは、なぜ「コミュニティ事業」をスタートさせたのでしょうか?
今、日本には820万戸の空き家があるにも関わらず、毎年90万戸の新築が建っています。
それほど多くの空き家があるのなら、その空き家の価値を高めて有効活用すべき。
「空き家問題を解決する」というミッションを掲げて、事業を行なっているのです。
※「広告キーワード集」については次の記事で紹介しています。
山田社長の経営術 2つの視点
改めて、山田社長の経営を振り返ると、そこには重要な2つの視点があります。
1つ目は、自分の理想を追求すること。
理想を追求する過程において、障害は必ず生まれます。
しかし、その障害を様々な工夫で乗り越えていく強さがあります。
2つ目は、時代の流れに乗っていること。
多くの人は「安定」を求めます。
今が安定していれば、それを打ち壊してまで新しいことにチャレンジする人は皆無です。
しかし、その「安定」は永遠のものでしょうか?
時代は確実に変化していきます。
その変化に対応できない会社は生き残っていくことはできません。
これは歴史が証明していることです。
だから、常に時代の変化に目を向けて、その流れに乗っていく。
これこそが、経営者の仕事なのかもしれません。